子宮頸がんワクチンの接種率について
子宮頚がんの予防ワクチンであるHPVワクチンの接種率が思うように増えていません。大阪大学の研究によれば、接種率が激減した生まれ年度(2000年度生まれ)の女性の20歳時の子宮頸がん検診における細胞診異常率が、1999年度以前の生まれの女性に比べて高く、その原因としてHPVワクチン積極的勧奨差し控えにより接種率が激減したことが指摘されています。積極的勧奨の差し控えにより、子宮頸がんワクチンが危険だと思っている人が増えた事も接種率の低さに影響しています。現在子宮頸がんワクチンによる反応は、どのワクチンでも起こりえる予防接種ストレス関連反応(ISRR)であると言われています。HPVワクチンに限った反応ではありません。まずは、HPVワクチンに対する不安を払拭する事が我々医師の役割だと思ってます。接種勧奨が控えられた平成9年4月2日~平成18年4月1日生まれの女性は、令和7年3月31日まで無料でHPVワクチンの接種を受ける事が出来ます。HPVワクチンについて疑問や不安がありましたら是非御相談ください。
癌を防ぐワクチンについて
子どもの定期予防接種で癌が防げることをご存じでしょうか?
その一つがB型肝炎ワクチンです。子どもがB型肝炎に感染すると排除する免疫が弱いため慢性的な感染が続き、慢性肝炎、肝硬変、肝癌と進行する事が以前はありました。
現在は、母児感染予防や定期のワクチンのお陰でそのような事はなくなりました。
もう一つが子宮頸癌ワクチンです。ヒトパピローマウイルス(HPV)(イボのウイルス)が子宮頸部に性的接触で感染し、数年から十数年の後に前癌病変を経てがんを発症すると考えられています。わが国では年間11,283人(2016年)が発症し、2,871人(2018年)の死亡が報告されています。女性特有の癌としては乳癌に次いで罹患率が高くなっています。HPV感染を受けてから子宮頸癌発症にまで至ることは稀ですが、一方では感染後にどのような人が子宮頸癌を発症しやすいかということはわからないため、子宮頸癌を発症する可能性は誰にでもあるということになります。以上のことから、多くの人におけるワクチン接種によるHPV感染の予防、そして子宮頸癌検診による早期発見の意義が出てきます。